太陽の竜と闇の青年
私は少しだけ力を緩めた。


華はガクガクとうなずいた。


「わ、分かった。だから、離して……」


ゆっくりと華の首から手を離した。


ズリュ……と音がして、華の首から私の……フィンドの爪が離れた。


「かはっ……!!」


華はドサッと地面に足をついた。


私はそれを見下ろして壱のほうをみた。


「白虎。壱を運んでくれないかな?」


白虎は一回転すると、動物へと変化した。


その様子をファーナスと華と愁は唖然としてみた。


有言だけが驚きもせず、私に声をかけた。


「お前の目には闇が奥底に潜んでいる。私がみた中で一番暗い闇だ。お前は自分が死ぬと分かっているのか?」


その言葉をきいて目を眇めた。


白虎は壱の傍に寄って自分の背中に乗せようとしていた。


「それ、支癸にも聞かれた。だけど、有言には教えてあげる。私って二人いるんだ」


ニッコリと笑った顔を訝しげにみた有言は眉をひそめた。


「冗談は嫌いだ」


私は笑う。


「冗談だと思っていればいいよ。本当に冗談かもしれないし。だけど、そう。私は死ぬよ。きっと、大切な者を守るために。私が死ぬのは後少しだと思う。だから時間がないんだ」


有言はフッと息をついた。


「ここに来て、何を思った」


何を思った?


私は不思議な質問に首を傾げた。


とくになにもないけど、あえて言うなら……。


「なにもかも終わりにしよう。まっているのはとても歪んだ暮らしだけだから。もう、何で戦っているのかわからないから、大地が消えたってかまわない。私だけ消えたってかまわない。もうなにもかもかまわないんだ。守りたかったのは静かな朝と大切な人々。大事なものがもう二度と返らないなら有り余る力で吹き飛ばしてあげる」


私は笑って四人に手を振った。


四人は私と白虎と壱呆然と見送っていた。
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