太陽の竜と闇の青年
[壱]


冷たい感触が頬に感じられた。


ゆっくりと目をあげると、白虎とルウの顔があった。


「あ!起きた!」


ルウがニッコリと笑った。


俺はゆっくりと起きあがる。


俺が寝ていたそこは、自分の部屋だった。


和国の城に入れたのか……。


俺がルウに声をかけようとしたとき、扉があいた。


「壱ってば人騒がせなんだから」


入ってきたのは牙城だった。


久しぶりにあった牙城は、艶のある髪に昔とは変わって大人びた顔へと変わっていた。


ヒョロヒョロの体だったのに、十分に筋肉のついた体へと変わっていた。


「ルウちゃんがすごい焦った顔で僕に説明してくるから何事かと思ったよ」


牙城の話を聞いていると、なんとなく分かったことが一つだけあった。


ルウは牙城に俺のことを説明はしたものの、聞いている牙城側としてはルウはパニックになっていて、何を言っているのか分からなかった。


そして、動かない牙城を焦れったく思ったルウは外に連れて白虎の背中に乗せられている俺をみせた、というところか……。


っていうか、あのモフモフの気持ちいいやつは白虎の毛並みだったのか……。


白虎、いいもんきっと喰っていたんだろうな。


俺がそんな思いを馳せていると、ルウがポツリとつぶやいた。


「結構質素な部屋だね……」


俺は苦笑いを浮かべる。


「まぁ……装飾品とか興味がないからな……。それにそんな物に金を賭けるより、誰かに賭けたほうがマシだろう?」


ルウは俺の言葉にニコッと笑ってうなずいた。


なんだか前よりもルウは俺に笑いかけてくれることが多くなった気がする。


それはとっても嬉しいことなんだが、どうしてか心の端に不安もあった。


俺がルウにそのことを聞こうとしたとき、ニッコリと笑った牙城の顔が邪魔をした。


いや、ニッコリではない。


ニヤニヤだ。


俺は不気味に牙城をみた。
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