太陽の竜と闇の青年
だが……今はそういう訳にはいかない。


確かに二人の実力は優れいると思う。


でも、たまに助けてやらないといけないときがある。


その時に私は苛ついてしまうのだ。


自分の命ぐらい自分で守ればいいものを、何故私やほかの人が助けなければいけないのだ、と。


私はそのときに暴走しかけてしまう。


それを押さえるために最近では黙祷を始めた。


私が黙祷を始めると、どうしてか知らないが、河屡もファーナスも同じように黙祷を始めた。


理由を聞くことはしない。


それは私には関係のないことだからだ。


知ったところで私がどうこうしようとするようなことはないし、だからといって二人に得することでもない。


必要不可欠なことを最低限聞くだけで、後は勝手に言っていればいい。


それが私の考えだ。


そのとき、私たちはバッと身を構えた。


外に何者かの気配を感じたから。


しかしすぐに構えを解いた。


……壱の気配だ。


私が扉に近づいて開けると、目の前に背の高い壱が立っていた。


「……」


私が壱をみると、壱は片眉をあげた。


「その顔では元気そうだな」


私は壱の軽口を無視して、壱を部屋へと入れた。


壱が部屋に入った瞬間、河屡とファーナスが壱に駆け寄ってきた。


「壱師匠!」


「壱さん!」


壱は二人をみて小さく笑った。


私たちは壱の笑った顔をみて目を見張った。


……この人は……。


「貴方はそんな笑い方もするのだな」


私たちがみてきた壱の笑みは、嘲笑のような人を欺き笑う顔だった。


だが、今の壱の笑い顔は優しく、柔らかいものだった。


……もしかしたら、この笑みはあの人からのものなのかもしれないな。
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