太陽の竜と闇の青年
「他国では竜の民は化け物として扱われている。それは何故か分かるか?」


私は顎に手をやった。


「白銀の髪は他国では快く受け入れられていないと聞いている」


壱はパチンッと指をならした。


「そう。白銀が産まれる可能性はかなり低いんだ。だから竜の民は生まれつき不思議な力を持っているといわれている。実際、竜の民は不思議な力を使えるようになる。それが、あの刺青の意味。あの刺青が完成すればその不思議な力を使えるようになる」


竜の民の力は知っている。


火を操れるもの、風を操れるもの、水を操れるもの、そんな一般的な力を持つものもいれば、自由自在に物を浮かせる物、自分の体から武器を取り出せるようになれるもの、一瞬で自分の行きたい場所へいけるものなど異能力をもった者もいる。


とくに皆が欲する力、それは[刻破り]の力。


その力は自分の行きたい時間に自由自在にいける上、時間を戻したり、進めたりと有能な力ともいわれている。


その力をもって産まれる可能性は極わずか。


そのためか[刻破り]の力は伝説となっている。


「ならば、あの人の能力は何だ?」


私が壱を見据えてそう訪ねると、壱はいいにくそうに渋面を浮かべた。


その反応だけで充分だ。


どうせあの人はただ者ではないと分かっていた。


突然性格が変わるのも、不思議な侍従をつれていたのも、すべては竜の民であり、その中でも特別に選ばれた者なのだ。


「[刻破り]だろう?」


壱の眉がピクッと動いた。


「……あぁ。ルウの力は[刻破り]だ」


ファーナスと愁が息をのんだ。


「なるほど……だからあんな不思議な力も使えるのか」


「つまりは選ばれた人ってところかな」


これで合点がいった。


選ばれた人に私たち凡人はかなわないのだ。


だからあの時、攻撃を仕掛けることができなかった。


一発でも弓矢を打てば、私は確実に殺されているだろう。


きっと今この世にはいないだろう。


「だけど、おいら気になっていることがあるんだ」



ファーナスはまだ引っかかっていることがあるのか、眉をひそめている。


壱が促すとファーナスは少しいいにくそうにした。


「ルウさんと戦うとき、ルウさんの目、真っ赤になっていた。左手は大きくなって爪が長くなっていたし。竜の民は銀目って聞いていた。なのに赤目だった。何故だ?」


壱は、あぁ……と遠い目になった。


「それはフィンドの力だな」
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