太陽の竜と闇の青年
フィンド……?


私たちが不思議そうな顔をしていたのに気がついたのか、壱は小さく微笑を浮かべた。


「フィンドっていうのはルウの契約者だ。シャーマンとはぜんぜん違う生き物でシャーマンよりも強い。フィンドの本当の名前はマーダーフィーンド。ルウはたまにフィンドの力をかりて相手を倒すんだ。前までは体、意志、すべてフィンドに貸していたんだが……最近ではフィンドの力だけかりてルウの体、意志はルウのままでいられる力を身につけたらしい。だからお前等は手を出せなかったんだよ」


私たちは顔を見合わせた。


あの人はあの人自身ではなく、あの人の体に入っている契約者というものなのか……。


だが、どこか引っかかる部分があった。


「ってことは、ウィン=ルウは本当は弱いってことなの?」


壱は首を振った。


「いや、ルウはかなり強い。フィンドの力を手に入れたことによって、より一層強くなったんだ。フィンドの力をかりなくてもルウは俺と互角するぐらいだぞ。フィンドのルウと戦えば俺は確実に殺されるな」


私たちは驚いて壱をみた。


まさか、壱と互角する者が私たち以外にもいるとは。


「で?質問はそれだけか?」


壱が首をコキコキとならした。


私たちが知りたいことは知った。


私たちがうなずいたのをみて、壱は私たち三人を順番に指さした。


「有言、ファーナス、愁。なぜ、あの時俺に睡眠薬を打った」


壱の真っ赤で鋭い目が私たちへと向けられた。


壱の目は光っていた。


まるで嘘を見抜くような目。


私はこの目が大の苦手だった。


だから私は顔を背けてしまった。


「まぁ……理由はだいたい分かる。どーせあれだろ。権力のあるアイツ等からお前等を潰すとかそんな感じだろ?」


壱は元暗殺者とあるだけあって、私たちの悩んでいることが分かるらしい。


そう。


私たち暗殺者は簡単につぶせる職業なのだ。


暗殺としての力は莫大にあるが、職業維持できるほどの権力は持っていない。


だから権力のある者に[あなたのところの暗殺業を潰しましょう]といわれるだけで私たちはビビりあがらなければいけない。


だから、嫌でも壱に睡眠薬を打った。


自分たちが潰されることをおびえて。


そう考えると、私たちはまったく力を持っていない人間だと改めて思った。
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