太陽の竜と闇の青年
私は寝台から出て木の椅子に腰掛けた。


ニッコリと笑って扉の向こうにたっている女の人に言う。


「そんなところに立ってないで、こちらにどうぞ?座布団ならありますから」


スーッと音がして襖が開き、女の人が入ってきた。


女の人はすごく綺麗な人だった。


欠点といえば……少しだけ化粧が濃いことかな?


私がニコニコと笑っていると、女の人は太股が露わになるのも気にせずにドカッと座布団に座って私の顔をマジマジとみた。


そして、ニッコリと笑うと私に手を差し伸べてきた。


「あたいは莢。情報屋として前まで壱に情報を渡してたんだよ。ちなみにあんたはウィン=ルウだね?」


私は莢さんが私の名前を知っていることに驚きつつも、軽くうなずいた。


「うん。私はウィン=ルウだ」


莢さんはパチンッ!と指をならした。


「やっぱりね。昔よりも美人になっているけど面影は少し残っている。あんた運が良かったね。可愛い上、美人さんなんだから。自分の親に感謝するこった」


莢さんは結っていた髪をバサッと下ろした。


それをボーッとみながら、私は莢さんに言った。


「うん。そうだよね……。親に感謝しないとね」


あっさり返事を返してきた私に一瞬だけ莢さんは驚いた顔をした。


しかし、すぐに爆笑した。


「あっはっはっは!!なるほどね!壱があんたのことを好きになる理由が分かるよ!あんたといれば悩み事なんて馬鹿げてくるよ!」


私が困った顔をすると莢さんは扇子を懐から取り出した。


「あんた壱の許嫁だろう?じゃなかったらこの部屋にきているはずないしね」


私が曖昧に笑っていると莢さんは私の頬に手をのばしてきた。


「あんたって不思議な子だよね。表面では明るく振る舞って、悩みなんてないようにみせている。見事な隠しだ。だけど心の中ではたくさんの悩み事を隠している。しかも、それは地道に解決できるようなもんじゃないね。だからといって一気に解決できるようなもんじゃない。あんたの隠し事はあんたにも、あたいたちにも解決できるようなもんじゃない。だけどその中でもあんたは楽しもうと頑張っている。強い子だと思うけど、反面壊れるのを恐れているようにみえるよ」


莢さんの意見に私は何も言うことができなかった。


それは事実だし、だからといって莢さんに悩み事を聞いてほしいわけでもない。


自分が死ぬといいたいわけでもない。


だから私は笑うことしかできない。


「うん。そうだね」


私が笑ってそういうと、莢さんは少し困ったような顔をした。
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