太陽の竜と闇の青年
私は莢さんの言葉を聞く前に私が言った。


「だから私は今を楽しもうとしているんだ。沢山旅もしてきたし、沢山の人にも出会ってきた。後することは何もないのかもしれない。だけど私はまだ何かしたりないんだ。私はそれが何なのか今、見つけている。それが見つかるまで……私は悩みを解決することはきっとできないんだ」


莢さんは私の頬から手を離した。


そして、私の手を握った。


「あんたいい人だね。あんたと壱ならこの国を変えれるかもしれない。小さな争いが絶えないこの国を。権力が強いこの国を……」


私は微笑を浮かべた。


「やれる限りは頑張ってみるよ。だけど、私の命も長くないかもしれない」


えっ?と莢さんが私を見上げた。


私は微笑を浮かべるだけだった。


莢さんは知らなくてもいい。


これは私事だから……。


私はゆっくりと莢さんから手を離すと、襖を見据えて小さく笑った。


なんだ……壱か……。


「そんなところで立ってないで中に入りなよ」


さっきの莢さんのようにいうと、襖がゆっくりと開いて予想通り壱が入ってきた。


けど、後ろに有言たちがいるのは予想外だった。


壱が中に入るように勧めると、三人は渋々ながらも中に入ってきた。


「おや!壱に有言、ファーナスに愁ちゃんじゃないか!」


莢さんが意外そうに声をあげると、愁が牙を剥いた。


「何度言ったらわかるんだ!河屡は女じゃない!ちゃん付けで呼ぶな!!」


愁にそう怒られたにも関わらず、莢さんは何食わぬ顔で壱をみた。


「で?これは何事だい?」


壱は私をみると優しく笑った。


「ルウに話をしてもらおうと思って」


私は目を見開いた。


私に話って……。


とくに話すこともないんだけど……。
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