太陽の竜と闇の青年
私が呆然としていると、有言が目を眇めて私をみた。


そして腰をおろすとゆっくりと口を開けた。


「貴方は何故、笑っているのですか?」


私が笑っている理由なんて聞いてどうするんだろう?と思いつつも、私は有言の心臓を指さした。


「それは今を楽しみたいからだよ。誰にだって楽しみたい気持ちがあるんだ。貴方はきっとそれをわかっているはずだよ。だけど貴方の何かがそれを拒んでいる。だから貴方はあまり笑わない。きっと貴方の笑顔はいいものだと思うんだけどね」


有言は自分の心臓を掴んだ。


次に質問をしてきたのはファーナスだった。


「ルウさんはもし大切な者を守るために死ぬとすれば死んでもいいと思っていますか?」


私はすぐにうなずく。


「だってそのために産まれてきたようなものだよ?例えばこの世界中の人々を守るためだとすれば、私は命なんて惜しくない。だけど、何の利益もなしに死ぬのは遠慮しておきたいね」


ファーナスは首を振った。


「おいらには真似できない……。おいらは自分自身のために生きているようなものだから……。おいらは生きたいから死にたくはない……」


ファーナスは顔を曇らせた。


っていうか


「それが普通なんじゃないの?」


私があっけらかんにいうと、ファーナスは驚いた顔を浮かべた。


「え?」


「だからそれが普通なんだって。誰だって死にたくないに決まっているよ。誰だって自分のために生きている。自分以外のために生きている人なんて一人もいないよ。実際、私だってそうだし。もしも自分の命を引き替えに何かができるんならそのときは自分の命を捨てるけど普段は私だって自分自身のために生きているよ。それが普通なんだって。ファーナスは自分はズレてるって思っているかもしれないけど、個性っていうものがあるじゃん。それに貴方がいなかったら空気が重いとき誰が明るくするの?現場の空気を明るくするのはあんたの仕事でしょ?絶対に誰一人、あんたがいらないって言う人はいないんだよ」


ファーナスは口を開けたまま固まった。


私はそんなファーナスをみてブッと噴出してしまった。


「訳わからなかったかな?簡単にいえば命なんて自分自身のために使っていたらいいんだよっていうこと」


私は自分の髪をクルクルと指でいじりながら愁をみた。


バチッと視線がぶつかる。


さてっと……。


愁は何が聞きたいのかな?


私がニコニコ笑って待っていると、観念したのか、愁は重重しく口を開けた。
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