太陽の竜と闇の青年
「のあぁぁぁぁ!!」


俺はビビって飛び跳ねた。


文字通り飛び跳ねた。


「てっめ、脅かすんじゃねぇよ馬鹿!!」


俺はバコンッと俺の下にいる餓鬼の頭をたたいた。


餓鬼は


「う~~~~~」


と唸り、邪魔くさそうな髪の毛の間から「銀色」の目を俺に見せてきた。


「チッ。勘弁してくれよ。俺にはもう二人も竜の民を育ててきてんだからよ……」


餓鬼はそれでも俺の足から手を離さない。


「だいたいはお前がどんな目にあってきたのか想像できるぜ?だけどな、俺だってこれからサルベージュを探しに行かないといけねぇんだよ!!」


俺が餓鬼にそう叫ぶと餓鬼は、う?と首を傾げた。


髪の間からクリクリとした目が俺を見上げる。


「あ?サルベージュが何なのか?チッ、めんでぇな。こんなやつだよ」


俺が懐から標本を取り出し見せると、餓鬼はふんふんと小さくうなずき、目を閉じて何か想像するような動作をした。


数秒後、いきなり餓鬼は自分の腹の中に手をつっこんだ。


俺が驚いていると、餓鬼は腹の中からサリナージュを取り出したのだ。


「んなっ!」


「うーー」


餓鬼は腹から取り出したサルベージュを俺に渡してきた。


俺はサルベージュをじっくりと観察する。


「驚いたな……。標本とまったく同じもんだ。しかも、きちんと使える……。お前、何の能力だ?」


俺は餓鬼をよくよく観察した。


ブカブカの服にブカブカのズボン、ブカブカの靴、何もかもブカブカな餓鬼は髪はじゃまくさそうに伸ばしていて顔もろくにみえない。


言葉も全く覚えていない。


唸って自分の情緒を表していた。


「[刹那]」


「あ?」


「[刹那]の能力」


刹那、一瞬。


一瞬で自分の考えたものが取り出せる能力。


「こいつぁ便利っちゃぁ便利だけど……。お前、喋れたのかよっ!」


「う~~~~」


俺がポカッと殴ると、餓鬼はうなった。


……あ?


コイツもしかして、まわりから山ほど言われてきたことだけは覚えて、ほかの単語はまったく覚えていないのか?


だとすれば……。


「餓鬼、お前の名前は何っつーんだ?」


「朱鷺。ネフェリ・朱鷺」


「ネフェリ・朱鷺ぃ?英国語と和の国の言葉がごっちゃじゃねぇかよ」


「ハーフ。ハーフ」


ピョンピョンと飛び跳ね回る朱鷺を俺はめんどくさそうにみた。


つかマジでめんどいし。


ルウとフウの時もあいつらの心の扉を開けるのに何年間かかったことやら……。


だが……コイツをあの二人に見せる価値はあるだろうな。
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