先輩へ… 16年後のラブレター
「そっか…。ありがとな。」

「それで、別れた時の事を謝らなきゃって、ずっと思ってた。

あの時、私が手紙置いて行ったよね。

『もうここには来ません』って。

覚えてる?」

「覚えてるよ。」

「そのあと、ウチに来てくれたよね?」

「うん。」

「あの時ね、先輩泣いてたの。

泣いてる顔を見れなくて、ほとんど口もきかずに追い返すような事をして…。

あの頃先輩仕事してなかったでしょ?

親に反対されちゃってて…。

本当は別れたくないけど、別れるって決めたんだからって心を鬼にしちゃってて。

すっごく酷い態度とっちゃって…。

ごめん…。ごめんね…。」

「ううん。

あれは俺が悪いんだよ。

仕事もせずにプラプラしててさ。

そりゃ親も反対するって。

『家を継ぐ』って言えばよかった。

ごめんな…。」

そんな…、先輩が謝ることないのに…。

私が勝手に別れを決めちゃったのに…。
< 65 / 84 >

この作品をシェア

pagetop