誘惑のクラン(血族)
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誰にも会わないように願いながら、そそくさと2階の部屋に戻った璃子は急いで身支度を整えた。


なにか心に引っ掛かるものがあるが、それがなんなのかはわからない。


それを考えようとすると、鈍い頭痛を覚える。


髪の毛を梳かしていると、ノックがあり美菜が入って来た。


「おはよ。璃子。ダイニングで優真さんが首を長くして待ってるよ」


美菜が笑みを漏らす。


「あ! うん。ありがと」


璃子はブラシをチェストの上に置いた。


茶色の髪がふんわりと頬を囲んでいる。


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