きすはぐあまこい

「ま、まあそう怒んなって…」

さすがの国原も何かを感じ取ったのか、そこまで言い合うつもりはないらしい。


「……」

それはこっちも一緒。


わたしの無言を許しと取った国原はびっくりする程の切り替えの早さを見せてくれた。



「お前、絢さんに言ってなかったらしいじゃないか!沢木が好「ちょ、バカ国原!声大きい!!」

慌てて国原の口に両手を押しつけると、国原はもごもごとしてそれが金魚と似ていたものだから思わず笑ってしまった。


「笑うなっ!窒息するかと思ったし!!…それより、絢さんは悲しんでたぞ!
『あの子…好きな人が出来たらわたしに報告!という常識を知らないのかしら…』って!
絢さん泣かしてどーしてくれんだ!」

「そ、そんなお姉ちゃんに伝えなきゃいけないなんて法律みたいなこと、いつ決まったのよ!?」

「昨日の夜8時51分だ」

「何であえての51分!?」


そんな感じでいつものようにコントに流されると思いきや―…


「…って違う!!」

国原が両手を野球の審判がセーフをするみたいに大きく広げた。
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