きすはぐあまこい
「あーやだやだ。瑞奈が恋する乙女の顔なんてしてちゃあ、世界が滅びちまうよ」
わたしは瞬間的に筆箱で国原を殴った。
「あだっ!」
「な、何言ってるの!てか、沢木くん起きちゃうでしょ!?」
横目で未だうつ伏せのままスースー寝息をたてている沢木くんを見て一息をつく。
「はいはい。愛しの沢木くんのためなら長い付き合いの俺をも…義兄の俺をも殴れるってか。あーはいはい。そうですかー」
「……っ!」
というか、何回も沢木沢木連呼するな…!!
バレたらどーすんのよ!
「もう嫌んなっちゃうねぇ、"お義兄(にい)ちゃん"は。だって沢木のいる休み時間ばっかりこうやって頬を染めてぼーっとしちゃっててさぁ。"お義兄ちゃん"悲しいなあ…」
「"お義兄ちゃん"じゃないからっ」
この野郎。
わたしが大人しくしてるからって復讐を企んでやがる……!