ふわふわのシフォンケーキ
何故そんなに怒っているのかと訪ねれば鼻をすすりながらかすかな声で、
「ゆうたのアップルパイが食べたかったのに」
そう言いました。
全く、なんて可愛いのでしょう。
素直じゃない美幸様も、素直な美幸様も、泣き虫で怒りっぽくて、すぐに拗ねて・・・・・・感情豊なのですね、美幸様。
「美幸様・・・・・・目を閉じてください。」
「ぇ・・・・・・?」
戸惑いながら瞬きを二回し、ゆっくりと目を閉じる。
そして、美幸様の唇に口付けを。
触れるだけのキス、美幸様の唇は水饅頭のように柔らかく、ふにっとしていて、さっきのアップルパイのせいかシナモンの香りが漂ってくる。
「ゆ・・・・・・うた?」
大きな瞳が私を見つめる。その目からは一度止まったはずの涙が再び溢れだす。