いつか、眠りにつく日
 急にあたりに白い煙がたちこめてきた。

 はじめてクロが私の前に現れた時と同じ煙だ。

「行くんだね」
私がそう言うと、カクガリがうなずいた。

「お姉ちゃん、またね」
手を振る涼太の姿は、だんだん煙に包まれて見えなくなる。

「涼太君、またね」

 やがて煙はあたりを白い世界に変え、完全にふたりの姿は見えなくなった。


「またね」

 もう一度、私はそうつぶやいた。


 煙はすぐに消えてゆくと、そこにはもう誰の姿もなかった。








< 181 / 264 >

この作品をシェア

pagetop