海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
震える声で尋ねると、桜土君はピタリと私の前で立ち止まった。


「ん?2分位前かな?忘れ物したから取りに来たんだ」


ウソ……全く気がつかなかった………


じゃあ私、桜土君に聴かれてると知らずに、ずっとのん気に歌ってたの!?


「ごめんなさい桜土君!!この事は皆には内緒にして下さい!!」


恥ずかしさで熱くなった頬を右手で隠し、左手で荷物を持つ。


そのままダッシュで逃げようとするが、桜土君に腕を掴まれてしまった。


「待てよ桐生!!なんで逃げるんだ!?てかなんで歌の事内緒にしなきゃいけないんだよっ!?」
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