記憶 ―砂漠の花―
「……ぁ…」
瞳を開けた。
それは、呆然と…
母上の心配そうな顔があった。
私の膝は涙で濡れ、
母上の私と繋ぐ手には私の爪が食い込んだ痕が残る。
「話には…聞いていましたが…」
アランの青い瞳にも、涙が滲んでいた。
衝撃的。
あまりにも…
母上が口を開く。
「私は、子供たちには魔力は受け継がれていないと思っていた…」
変わらずベッドに横たわるアズを見た。
「…でも、幸か不幸か…受け継がれていた。こんな形で表れるとは思ってもみなかったけれど…」
二つ目の心臓が動き出した時、
私たちの『封印』は解かれた。
「アイリ…貴女は、もしかしたら…」
あの質問が来てしまう。
あの質問が…
「私の本当の娘ですか…?」
鼓動が高鳴る。
『違う』と言えばいい…
いいえ…、と。
「あの光景に…少しでも、見覚えはありませんか…?」
私はアズを見ていた。
どうしたらいいの…
助けて、
助けて、アズ…。
今、『はい』と言ってしまったら…?
血の繋がりを認め、
私と貴方は、
決して結ばれる事はない。