記憶 ―砂漠の花―

「えぇ…!?」

逃げていた雰囲気。
避けていた会話。

立ったまま、緊張し固まる私をよそに、アズは平然と言葉を続けた。


「ほら、俺の気持ちはこの間言った通りアイリにバレてるだろ?人前では妹として扱わなきゃいけないけど、二人きりなら話は別!女の子として扱う。」


今、キースとアランは二手に別れて、それぞれ南北の街に偵察に行っている。
ラオウとレンに乗って…。

キースの記憶は、30年も前の物。
現在の島の状況を知る為、馬を走らせていた。


「アランにやられっぱなしだしね、俺。」

「アラン…?」


「そうだよ!アイリにベタベタ、ベタベタ、ベタベタベタベタ!!問題はアランなんだよ!」

荒っぽく荷物を岩場に出しながら、今度はいじけた子供の様なアズを見て、緊張して固まっていたのも忘れて、笑いながら訪ねた。


「問題って~?」

「キースにはバレてるだろ、泉で。人間だとは思わなかったが、父上には言わないでくれそうだし。ラオウとレンには、ウィッチに話すなって脅せば良し。アランが身内ってのがなぁ~…、アイツさえいなかったら、アイリとベタベタしてるのは俺なのに!」

「ふふふっ…」

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