Raindrop
それから、真顔で僕の顔をジッと見つめて。

「元気か?」

と。

今の僕には痛い質問をしてきた。

「元気だよ。君は冬休み、楽しんだかい?」

微笑みを崩さずにそう聞き返す。

「ぐったり疲れたよ、休みは。……で、お前、センセーとどうなってる?」

更にグサリと突き刺さる質問だ。

「……何も?」

微笑を崩さずに答えたけれど、響也は軽く溜息をついた。

「やっぱり、何かあったんだろ」

……その鋭さは一体なんだろう。

一瞬だけそう思ったけれど。

「……『やっぱり』?」

僕はそう聞き返した。

やっぱりということは……何か、そう確信させるものがあるということだ。

「だって、センセー、婚約しただろ?」

「……は?」

響也の言葉に僕は、自分でも間抜けだと思うような声をあげた。

「あ? 知らなかったのかよ」

響也はマズイことを言ってしまった、とでも言うように顔を顰めて明後日の方を向いた。

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