Raindrop
「……水琴さん。料理教室のことなんですが」
視線を交わらせないままに、語り掛ける。
「良かったら、ここでやりませんか」
「……ここで? このおうちで?」
「ええ。花音や拓斗からも教えてくれるように頼まれていて。でも受験勉強で時間を取るのが難しくなってきたので……貴女さえ良ければ、一緒にどうですか」
時間なんて、作ろうと思えばいくらでも作れるけれど。
僕たちはもう、2人きりで会ってはいけない。そう思っての提案だった。
「水琴さんの料理下手が知られてしまうことにはなりますが」
くすり、と笑いながら、顔を上げる。
水琴さんは涙を流した後の、潤んだ目で僕を見ていた。
「皆でワイワイやる方が、きっと楽しいですよ」
これは、2人きりでは会えないけれど……それでも、少しでも長く会える時間を作りたいと願う、僕の我侭。
貴女の涙ではなく、笑顔を見たいという、僕の我侭だ。
僕からの提案をじっと聞いていた水琴さんは、泣き笑いのような笑みを浮かべた。
「ありがとう。……お願いするわ」
視線を交わらせないままに、語り掛ける。
「良かったら、ここでやりませんか」
「……ここで? このおうちで?」
「ええ。花音や拓斗からも教えてくれるように頼まれていて。でも受験勉強で時間を取るのが難しくなってきたので……貴女さえ良ければ、一緒にどうですか」
時間なんて、作ろうと思えばいくらでも作れるけれど。
僕たちはもう、2人きりで会ってはいけない。そう思っての提案だった。
「水琴さんの料理下手が知られてしまうことにはなりますが」
くすり、と笑いながら、顔を上げる。
水琴さんは涙を流した後の、潤んだ目で僕を見ていた。
「皆でワイワイやる方が、きっと楽しいですよ」
これは、2人きりでは会えないけれど……それでも、少しでも長く会える時間を作りたいと願う、僕の我侭。
貴女の涙ではなく、笑顔を見たいという、僕の我侭だ。
僕からの提案をじっと聞いていた水琴さんは、泣き笑いのような笑みを浮かべた。
「ありがとう。……お願いするわ」