Sweet☆Lover
【PM 6:27】
学校から帰宅して、デジタル時計を目にする。
「もうすぐ、か」
いつからか決まった時間に、訪問者が現れる。
制服からラフな部屋着に着替えて、大好きなココアを二人分作り、部屋のベットにもたれかかるようにして座る。
【PM 6:30】
――――――カラカラカラカラ…
窓が開いて、現れた訪問者。
『未紅!ただいま』
満面の笑みの郁斗。
私たちの時間は学校が終わってから。
「おかえり」
郁斗の笑顔を見ると自然と笑顔になる。自分のではない、もう1つのココアを渡す。
【嫌いな食べ物:甘いもの】
そんなわけない。
私よりも甘党な彼なのに。
『あー、今日は疲れたなぁ』
「バスケ、かっこよかったよ」
体育のときの郁斗を思い出しながら、相槌を打つ。その言葉に、まるで子犬のような無邪気さを見せながら、彼は喜ぶ。
『俺を見ててくれたの?』
「バスケを、見てたの」
体育後のことを思い出し、ちょっと意地悪を言う。私の悪い癖だ、素直になれない。郁斗だけを見てたのは、確かなことなのに。
『みーくー』
学校でのキャラと正反対すぎる誰も知らない素の郁斗。私だけの彼。
「ごめんて。ちゃんと見てたから大丈夫」
そしてまた、無邪気に笑う。
たまに思う。
彼は残酷だ、と。