〈短編〉かわいくなりたい
「なんで…告んないの?」

鈴木君は言いずらそうに言った。


「だって和也は女子からモテるし…私は地味だし色気ないし…こんな女好きにならないし」


鈴木君から目線をはずして窓の外を見た。


「だけど俺は高橋を好きになったけど??」

びっくりして私は鈴木君をみた。
鈴木君は優しい顔をして私に言った。


「高橋さ、可愛くなったの自覚していないと思うけどさ…かわいいよ??それにかわいくなろうと思ったのは…宮崎に少しでも好きになって欲しいからでしょ?」


思わず私は目を見開いてしまった。


「鈴木君はすごいですね…なんでも分かっちゃうから。」


「違う違う。高橋だからわかんの!!」


なんで…そう軽々とドッキッとさせるようなことを言えるのか…私だったら言えないよ────!!


「もしさ…宮崎に告って振られたら言って…俺が宮崎のこと忘れさせてあげるからそんでもし告ってokだったら俺を振って」


思いかけないことを言ってきてびっくりした。
なんでこんなに優しいのだろう。


「今さ、優しいと思ったと思うけど…ただの強がりだから、振られても落ち込みませんよって感じな??まぁ逆なんだけどさ…」

俯きながら鈴木君は頭を掻いた。そして小さく呟いた。『こんなこと言いたくなかったけど…』と


「私はかっこいいなと思いました。あと優しいとも思えたけど…その…なんか……本当にかっこいいと…思いました…思った?…思います?」


絶対私顔真っ赤だ。てか何いってんの!?私は────


鈴木君はまた笑った。


「高橋ってほんっと面白いな!!全然あきない」
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