おじいさんと孫(仮題)
 
「で、君はこれからどうするんだい?俺は君が探していた男だ。鈴の義父っていったところか。まぁ、一時期にしか過ぎないけどね。…その前に俺は見たように化け物だ。さて、どうする?落ち着いてるが、俺を医療機関やテレビにでも売るかね?きっと金になる。俺の身体は人体実験に最適だからね。あぁ、一度くらいは経験したことがあるからわかるんだ。あそこは逃げ出すのが大変だったんで、出来たら遠慮したいな。今も逃げてる最中なんだよ。」
 
先ほどの沈黙が嘘のように語り始める彼は、様子も態度もまるで違う。年老いた狡猾な表情。 にやりと笑みの形に歪んだそれは、はっきり言って上手くないように見えた。
笑っているのに、何故だろうか。
どこか投げやりな印象を受ける。
諦めているような、そんな、雰囲気。僕が、彼を売ると決め付けているのだ。
 
 
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