おじいさんと孫(仮題)
 「僕は」
 
 
決め付けられたことにイライラとして、彼の言葉を遮る。 
 
「僕は、あなたを売るつもりはありません。」
 
また、沈黙。
 
ほう、と掠れた音がした。 その後、ぎしりと軋む音がして彼は椅子の背凭れに凭れる。
 
「…では、君の目的は何かね?感動の対面を望んでいたわけじゃないだろう」
 
脚を組みこちらを値踏みする姿はとても容姿に似合わない。
こちらも負けじと視線を合わせて言葉を続ける。




 
「母との約束を守るためです。あなたの面倒をみるっていう。」 
 
「は?」
 
 
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