チョコレートトラップ
うろついているクラスメイトが

5時間目の先生の姿を見るなり、

すぐに席には戻らずに

だらだらと話し続けている。


そう。


そんな態度でいられるのは、

担任である後藤先生だから。


「ほら、みんな。

 授業始めますよ」


ほわんとした柔らかな口調で

生徒たちを促す声をかけるけれど、

みんなはそれにすぐ

応じようとはしない。


「ゴトっち、そんな

 かたい事言わないでさー。

 もうちょっとのんびりしようぜ」


クラスの男子が

からかうように声を弾ませて

言う。







< 105 / 279 >

この作品をシェア

pagetop