チョコレートトラップ
なんで、なんで私が

ウソタなんかに

反応しちゃってるんだろう。


自分が自分で

なくなってしまったみたい。


私のすねたような言葉に、

ウソタがようやく

穏やかな表情に戻って

ニカッと笑う。


「俺は、“彼女”を

 守っただけだっつーの。

 “彼氏”として、

 当然のことだろ?」


今までの私だったら、

この台詞に対して

言い返していた。


でも、なんだか

いつものように

言い返せない自分がいる。


それよりも、

胸の奥がじんわり温かく

満たされているように感じる。


―――悔しいけれどじわりじわりと、

ウソタのペースに

はまってきているのかもしれない。





< 158 / 279 >

この作品をシェア

pagetop