チョコレートトラップ
それも好印象に。


それでもまだウソタは

全てを預けられる人物ではない。


「べ、別に、

 守ってくれなくても

 大丈夫だから」


ウソタからじわりじわりと

距離を置きながら

言葉を吐き捨てる。


そんな私に、ウソタは

表情を歪めることはしない。


「ま、そうやって強がってる

 芹菜も可愛いけどな」


「!」


今のウソタの台詞は本心?

それとも得意の『嘘』?


掴みきれないウソタの言動に、

私の鼓動は鳴り止むことはない。


どっちだか分からないけれど、

この場をなんとか

おさめないと授業に

間に合わなくなってしまう。


「取り合えず、

 助けてくれて……

 あ、ありがとう……」


消え入りそうなか細い声で

助けてもらった礼を言うと、

私は逃げるように

教室へと向かった。






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