チョコレートトラップ
「数日前に、

 先生から答辞の件をお聞きし、

 お引き受けしました。

 私たち、高校生活最後の

 晴れ舞台にふさわしい答辞を

 僕が責任をもって

 させて頂きたいと思っています。

 宜しくお願いします」


滑らかな口調でそう挨拶をすると、

高橋くんが再度、一礼する。


その堂々とした姿に、

女の子を中心とした学年全員が

大きな拍手で返事をする。


バイトでの彼を微塵にも

感じさせない優等生振りに、

私の心臓がドクンと

大きな音をたて始める。


こうして学校での

高橋くんをみていると、

どっちが本当の姿なのか

本当に分からなくなってくる。


しばらくの間下げていた頭を

ゆっくりと上げたその瞬間、

私の鼓動がさらに

激しく波打ち始めた。






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