チョコレートトラップ
俯いたまま口を

ぎゅっと噛み締めていると、

凛がゴメン、と

平謝りしてから

ふわりと優しい口調で話し始めた。


「芹菜が今言った『賭け』は

 ウソタの一方的なもの

 かもしれないけど。

 きっとアイツ、

 本気になってんじゃないかな?

 じゃないと、朝っぱらから

 芹菜のことを昇降口で

 待ち伏せなんかしないと思うよ」


「そんなぁ。私、

 『賭け』はウソタの

 いつもの嘘だと思ってたのに……」


段々と食欲がなくなり、

とうとうお弁当箱に蓋をしてしまう。


紙パックのフルーツオレを

口に含んでごくりと流し込むと、


私の口からとてつもなく

大きな溜め息が漏れた。






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