チョコレートトラップ
お昼休みもそろそろ終わる頃、

私たちは5時間目の授業を

受けるために屋上を後にする。


ゆっくり階段を下りていく途中、

周囲の生徒たちの反応が

午前とは違うものになっている

感覚を覚える。


「凛」


視線はそのままに

小声で凛を呼びかける。


「ん?」


凛もまた同様に返事をくれる。


「なんか、みんなの視線が

 さっきと違う気がするんだけど。

 ……私の気のせいかな?」


「鈍感な芹菜でもそう思う?

 なんか、お昼前とは違うよね」


“鈍感な”という言葉に

少し引っかかるものの、

凛も私と同じように

感じていたことにホッとする。


けれど、なんで向けられる視線が

変わったのかが分からなくて

胸の奥がざわつき始める。


動揺を悟られないように

黙々と階段を下りていく。







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