クランベールに行ってきます


 結衣は休憩コーナーにお茶を運ぶと、二人に声をかけた。

「ロイド、ローザン、お茶入ったよ」

 結衣の声に振り向いた二人は、話しながら揃ってこちらにやって来た。

「全世界の検索に二秒もかかるのは問題だな」
「そうですか? ぼくには充分速いと思えますけど」
「他がどれだけあるかわからないんだ。できれば一秒未満に抑えたい。ハードはこれ以上どうにもならないから、ソフトでなんとかするしかないな」
「ぼくにプログラミングの知識があれば、もう少しお手伝いできるんですけどね」

 三人で席に着くと、ローザンが笑顔で結衣に話しかけた。

「いつもありがとうございます」

 結衣も少し笑顔を作って答える。

「気にしないで。他にできる事ないし。三時にまたケーキ作ってくるから、楽しみにしててね」
「はい」

 ローザンは嬉しそうに一層微笑むと、カップを口へ運んだ。
 ロイドは砂糖十五杯入りの檄甘茶を黙々と飲んでいる。結衣はその横で机の上のカップを両手で包み、俯いてぼんやりしていた。
 少しして、黙り込む二人を不審に思ったのか、ローザンが尋ねた。

「ケンカでもしてるんですか?」
「いや、別に」

 同意を求めるようにこちらに視線を送るロイドと目が合い、結衣も頷いて答える。

「してないよ」

 ローザンは腑に落ちないといった表情で、首を傾げながら再び尋ねた。

「そうですか? ユイさん、元気がないですね。どこか具合が悪いんですか?」

 ローザンが心配してくれているのはわかるし、嫌な雰囲気を漂わせて申し訳ないとは思うが、少しうるさい。軽く苛ついた結衣は、笑顔で沈黙の呪文を唱えた。

「大丈夫、なんともないから。ちょっと生理痛なの」
「え……」

 案の定ローザンは、絶句して気まずそうに俯いた。

「すみません。詮索して……」

 お茶を飲みながらチラリと横目で様子を窺うと、ロイドが呆れたような表情で、こちらを見ていた。彼にはウソだとばれているようだ。
 そもそもロイドには、結衣が気落ちしている理由はわかっていると思う。


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