月と夕焼け
俺は、美乃梨と西城の結婚に祝福の言葉を言いに帰って来た。

そして、美乃梨が好きだから美乃梨がどうしても欲しいと自分の親と、松永家に言いに帰って来たんだ。


「美乃梨に会わないと、何も始まらないだろ」


西城にこの事は言ってないはずなのに、何故か理解して準備を整えてくれている所を見るとさすが親友だと思ってしまう。


「ありがとう」


気が付いたらこぼれていた言葉。


「まだそれを言うのは早いよ。どうなるかも分かんねぇのに」

「そうだな」


緊張もしている。
なのに、自然と笑みが溢れてしまう。


「何、ニヤけてんだよ」

「ごめん、なんか嬉しくて」


美乃梨に会えること。
でも、それ以前に西城とまたこうして「普通」に話せているのが何よりも嬉しかった。

俺が勝手に作った西城と俺の間にあるはずの「壁」を何の戸惑いもなく破ってくれる。

こんな奴だ。
これが「西城遥佳」なんだよな。
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