月と夕焼け


「なんでそんなに優しいんですか?」

「私?私、優しくないよ。自分の利益しか考えてないから…」

「え?」

「あ、それより私、なんでここにいるのかなぁ」

「分かりません。私もいきなり、遥佳様が庭に来られてここで美乃梨さんの相手しててって言われただけで…」

「無理矢理?遥佳くんらしくないね」


佳奈ちゃんが私に、紅茶を入れてくれる。
その香りに私はホッとした気分になった。



私は、まだ何も知らなかった。


これから起こること、そして佳奈ちゃんの気持ちも。


「結婚したら、ここに住むのか…」

「…そうですね」

「佳奈ちゃん?」

「いえ。紅茶、入りました」

「ありがとう。ねぇ、もしかしてなんだけどね」

「はい?」


私に紅茶を出してくれる佳奈ちゃんを見ながら、真直ぐに見ながら聞いた。


「遥佳くんのこと、好き?」

「えー…?」


佳奈ちゃんの顔が引きつる。
責められるとでも思ったのか、目が泳いでいる。
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