パステルカラーの恋模様 【鮫っち番外編】
「…す、すいません、でも、今日は本当に、これだけで……」
「お前いい加減にしろよ!調子乗ってんじゃねぇよ!あたしの事、なめていいと思ってんの?直樹に言って、またお前の事ぼこらせるかんな!」
ひい~!かつあげ現場!
しかも、かつあげしてんの女じゃん…!
女こえぇ!
この声は…隣のクラスの江崎?
かつあげされてる奴も何で言い返さねんだよ。
相手は女じゃん。
直樹…って、あれ?
何か聞いた事あんな…。
とにかく、とめに行……
俺はドアノブに手をかけて、ハッとした。
いやいやいや!ダメだって!
俺、またお人よししてんじゃん。しかも。
腕時計をバッと見ると、もう待ち合わせの時間まで3分くらいしかない。
ここでもめてたら、時間に間に合わない。
美紀をまた不安にさせてしまう。
傷つけてしまう。
俺は葛藤した。
ガンッと、柱を蹴飛ばす音が聞こえる。
もう決めたじゃんかよ。
人より自分の事優先するって……。