パステルカラーの恋模様 【鮫っち番外編】
許せ!
そう思って、ドアに背を向けた俺………だったが。
やっぱダメだ!
ごめん、美紀…!
俺は思い切りドアを開けた。
すると、二人が同時に俺を見た。
江崎は腕を組み、じろっと俺を睨んだ。
ひ弱男は俺のクラスの小山だった。
涙目で必死に俺に救いを求めてくる。
ふう、ここは円満に、円満に…。
俺は精一杯の笑顔を作って、二人の前へと歩み寄った。
「何だよ、鮫島。邪魔すんじゃねぇよ」
「悪~い悪い!そんな怒んなよ、江崎ちゃん。可愛い顔が台無しじゃん」
「はっ?何だよ」
まずはお世辞作戦だ。
江崎はまんざらでもない顔をして、「うるせぇよ」と突っぱねた。
すぐに「やめろ」なんて言って、食い下がるような奴じゃない。
「あ、でもさ、なんかさっき光化学スモッグ注意報出たよ。さっさと中入んねぇと死ぬんじゃね?」
「あ?んな放送ねぇよ!」
「いや、あったって!聞こえなかった?おかしいなぁ…」
そうやってもめている内に、小山がその場から逃げた。