パステルカラーの恋模様 【鮫っち番外編】

「あっ、小山!」

「おい、待てよ!てめぇ!」



江崎が追いかけようとした。

俺は咄嗟に腕を掴んで引き止める。


そんな事してる間に、一目散に走り出し階段を転がるように駆け下りていった小山は、すぐに見えなくなった。




さーて、どうしよう、この女。




「おい鮫島!おめぇのせいだぞ!ざけんな!」



あ、思い出した。

こいつの言ってた直樹って奴、学校一の遊び人男じゃん。



コイツ気づかずに金貢いでんのか…。

あーあーあーあー…。可哀相な奴。



俺の手を振り払って、もう一度怒鳴る江崎。




「おい、聞いてんのかよ!おめぇも、直樹にぼこらせ……」

「怖くねぇよ、そんな奴。つーか、お前もさ、本当は気づいてんじゃねぇの?」

「…はっ?」




江崎は一瞬、動揺の色を見せた。
< 13 / 20 >

この作品をシェア

pagetop