パステルカラーの恋模様 【鮫っち番外編】
「あっ、小山!」
「おい、待てよ!てめぇ!」
江崎が追いかけようとした。
俺は咄嗟に腕を掴んで引き止める。
そんな事してる間に、一目散に走り出し階段を転がるように駆け下りていった小山は、すぐに見えなくなった。
さーて、どうしよう、この女。
「おい鮫島!おめぇのせいだぞ!ざけんな!」
あ、思い出した。
こいつの言ってた直樹って奴、学校一の遊び人男じゃん。
コイツ気づかずに金貢いでんのか…。
あーあーあーあー…。可哀相な奴。
俺の手を振り払って、もう一度怒鳴る江崎。
「おい、聞いてんのかよ!おめぇも、直樹にぼこらせ……」
「怖くねぇよ、そんな奴。つーか、お前もさ、本当は気づいてんじゃねぇの?」
「…はっ?」
江崎は一瞬、動揺の色を見せた。