今日だけ私の貴方に【密フェチ】
「あの時お前が俺と付き合ってたら、人生変わってただろうしな」
「―――え?」
何の話?
「俺、好きだって言ったのに」
何それ。
「……聞いてないよ」
「悪ふざけだって笑い飛ばされた。ショックだったんだぞ」
だって、貴方はいつもそんな冗談ばっかりだったじゃない。
「それで結局アイツと付き合って、結婚したけどな」
貴方の指がリングを撫でる。愛おしそうに。
「……何よ、結局ノロケなんじゃない」
「感謝してるって話だよ」
「だったら男の1人でも紹介したらどう?」
「それなんだけどなぁ」
貴方は顎に手をやって考え込む。
「俺よりいい男を思いつかない」
「……バカ」
私は今も昔も、貴方しか見えてないのに。肝心な貴方の本音を見抜けなかったなんて。
自分を悔いても、過去には戻れない。