卓上彼氏
電車の中ではさすがに…と考慮してくれたのだろう、最寄り駅に着くまでヨクは出てこなかった。
「おかえりみかみっ!今日は楽しかった??」
いつもと変わらない、あの憎らしいほどに素敵な笑顔。
「うん、楽しかったよ!あんなにヲタ友とグッズ買い漁るの久しぶりだったし!…………」
『でも、』と続けてしまいそうで私は口を閉ざした。
私、ヨクとゆりに嫉妬してたなんて………。
そんな私の表情から読み取ったのか、ヨクは心配そうな顔をして言った。
「みかみ、どうかした?」
「どうかしたっていうか………私自身がいけないだけなんだけどね」
私は自分の心の狭さに笑った。
ヨクには自分だけを見ていてほしい、ずっとそばにいてほしい、なんて。
今までの彼氏に対してこんなに束縛激しかったっけ?
あまりにも複雑な私の雰囲気に困惑させては悪いと思ったから、この際自白してしまおうと思った。
「私、嫉妬してた」
ヨクの顔にはありありと『え?』と書いてあった。