卓上彼氏


なんのことだか全くわからないようで、ヨクはぽかぁんとしていた(そんな顔も美しくキマってしまうのがヨクだが)。






「私、ヨクがアドリブで乙ゲーのふりしてくれてたとき、そのゆりとヨクの楽しそうな雰囲気に妬いてたの。馬鹿だよね、私がヨクにやらせたようなもんなのに」








ヨクは真剣な目をしたまま黙って私の話を聞いていた。






「演技だってわかってたのに、日頃私に接してくれてるときの態度を他の子にとられるとすっごく胸が苦しくて。ヨクは私のパソコンの中からやってきて、パソコンの中で生きてる『卓上彼氏』だから、ずっと私が独占できてることに慣れすぎてた」









「だから、どんなに私がヨクを好きになってたかって、気付かされたの。『愛してる』って、それだけは言ってほしくなくて思わず手が出ちゃったし……」








「みかみ………」






ヨクは私の名前をつぶやいた後、一呼吸置いて、






「ディスプレイ、触って」






と言った。

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