ミックス・コーヒー
 気がつくと時計は11時を回っていた。

「……じゃあ、あたし、今日はそろそろ帰りますね」

「あ、おれも」
 ミクリと同時に、尚樹も立ち上がった。

「家、どの辺?」
「え、月見ヶ丘のコンビニの近くです」
「なんだ。おれのアパートの近くだ。送ってくよ」

「そんな、悪いです」
 ミクリは激しく何往復も手を振った。

 すると尚樹が「おれんちもそっちなんだってば。家に帰らせてよ」と、笑った。

 その笑顔につられたのか、ミクリも笑った。
「じゃあ、お願いします」

「うん。それじゃまた明日な。美葉」

「あ、オレのことだけ無視した」

「またね、ミクリ」

「うん! 美葉、連絡するから」

「……なんでオレだけみんな無視するの」
 貴之だけ、腑に落ちなかった。


(……しかも尚樹のヤツ、イカちゃんと一緒に帰るのかよ!)
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