小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
細いけど、ゴツゴツした良ちゃんの手が、あたしを力強く引いて行く。
あたしは良ちゃんが背中を向けている隙に、空いている手で涙を完全に拭きとった。
病院内の自販機の前で立ち止まった良ちゃんは、あたしの手首を離したあとも、しばらく前を向いたまま振り返らなかった。
「良ちゃん、どうしたの?」
不思議な良ちゃんの行動に眉を寄せ、良ちゃんの腕を掴もうと手を伸ばす。
「そんなに心配だった?」
「……え?」
ピタリと、伸ばす手が止まった。
深刻で静かな、良ちゃんのかすれる声。
「僕の電話、よく聞き取れなかったんでしょ? こんなに危険な中駆けつけるくらい、圭のことが心配だったの?」
……良ちゃん?