小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「雨に濡れて、そんなに泣きそうな顔をして……」
「…………」
良ちゃんが、ようやくあたしを振り返った。
眉をハの字の曲げて、とても切ない表情で。
体が、固まった。
あたしのふたつの目が、今にも泣き出しそうな良ちゃんを見て戸惑い震えている。
……え? どうしたの? 良ちゃん……?
なんで、そんな表情を……。
「なーんて!!」
今まで深刻な顔をしていた良ちゃんは、急におちゃらけた声を出しニヒっと笑いだした。
「どうだった? 僕の名演技!」
良ちゃんは腰に手を当て「かぁーっ」と、自分の演技に酔いしれている。
「僕、すごく嬉しいよ! 歌恋が、自分の身を危険に晒してまで駆けつけるなんて」
良ちゃんは言いながら、お尻のポケットから財布を取り出し、小銭を自販機に入れる。