光のもとでⅠ
「大丈夫……」
「リィ、不正解」
 え……?
 唯兄を見上げた拍子に涙が零れた。
 すぐに袖で涙を拭う。
 すると、いつの間にか近くに来ていた蒼兄にハンカチを握らされた。
「さっき藤原さんに言われてたじゃん。大丈夫っていうのは返事じゃないって」
 あ――。
「……治療はつらくないよ。ご飯も少しずつ食べられるものを食べてる」
「正解」
 唯兄はご褒美とでもいうかのように頭を撫でてくれた。
「お母さんは……? お母さんはもう身体大丈夫?」
 すごく心配だった。
 でも、電話すらかけられなかった……。
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