光のもとでⅠ
「今……」
「え?」
「今、平気になった」
 と、泣き笑い。
「もう、やだ……」
 言いながらも止まらない涙をどうにかしようとしている。
「これ、蒼兄のハンカチだけど……」
 自分に握らされたハンカチをお母さんに渡すと、お母さんはハンカチで目を押さえた。
「あんちゃん、どうする? そのハンカチ、かなりレアアイテムになったんじゃない? なんたってリィと碧さんの涙つきだよ?」
 茶化すように話しては、「洗えないよね? ビンテージだよね」と口にする。
「唯、それは不衛生……」
「唯兄、それは不衛生……」
「唯くん、それは不衛生じゃないかしら……」
 微妙に重なった声たち。
 それを見て唯兄はクスクスと笑った。
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