光のもとでⅠ
「ごめんなさい、思い出せなくて――。ひどいこと、というのはわかるのに、全然心が伴わなくて……」
「……いいよ。俺はそのあとでもっとひどいことをしているから」
 この人は優しすぎる……。
 それに、秋斗さんは秋斗さんが思いつめるほど悪いことはしていないんじゃないだろうか。
「俺、そのあとに駆り出されたわけ?」
 機嫌悪そうに口を挟んだのはツカサだった。
 駆り出されたって何に……?
「そう――俺は車で放心状態。そのあとすぐ、翠葉ちゃんの発作が始まった。若槻は俺が近くにいるのを知っているのに連絡を寄こさず、発作は二時間弱で落ち着いた」
 秋斗さんが自分の携帯に目をやる。
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