総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
俺はとりあえず、押しかけられた強盗に殺されてしまったのだと嘘をついた。


そして、一人の弟がいることも教えた。


すると、レナはいきなり頭を抱えて唸った。


「うっ‥‥!」


「どうした?頭、痛むか?」


俺はナースコールをしようとしたが、レナがそれを制した。


「だ、大丈夫だよ。お兄ちゃん。なんかね、いきなりフラッシュバックっていうのかな。記憶が流れてきたの‥‥」


もしかして、記憶が戻った‥‥‥!?


視界の端で激しく揺れる、真っ白なカーテン。


レナの綺麗な黒髪を弄びながら俺に吹き抜ける。


「小さい時の記憶かな‥‥。あたしとヨウ‥‥そうヨウだ!ヨウと、もう一人‥‥あ、あの人だ。‥‥‥ダメだ、名前だけどうしても思い出せない。けど、仲が良かったんだね!あたしたち兄妹!」


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