銀棺の一角獣
 彼もそれを察してくれたようで、それ以上はアルティナに話しかけることはなかった。


「ディレイニー王国の護衛の方も一緒なのでしょう?」


「は、こちらに控えております」


 聞いたことのない声だった。


「世話になりますね」


 もう休むから、と言いおいてアルティナは扉から離れた。

 キーランの好意はありがたかったのだけれど――それを受け取ることはできなかった。ルドヴィクとは顔を合わせるわけにはいかない。

 翌朝の出立は早かった。アルティナは身支度を調えて馬車に乗り込もうとする。差し出された手の主を見ると、ルドヴィクだった。

 無言のまま彼は一礼する。アルティナはその手を借りて軽々と乗り込んだ。続いてケイシーが乗り込み、アルティナの側に控える。

 キーランとカレンも乗り込んで、馬車は動き始めた。
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