銀棺の一角獣
 翌朝、アルティナたちが神殿の前に出た時には、護衛の騎士たちはいつでも出立できるように準備を終えていた。


「……行きましょう」


 アルティナはキーランの差し出した手に自分の手を乗せる。神殿の前まで見送りに出たスウェインは、ゆっくりと頭を下げた。

 カレンもスウェインの隣に並んでアルティナたちを見送る。スウェインからの伝言を届けるという役目を終えたカレンは、アルティナたちに付き添う必要はなかった。


「気持ちは決まった?」


 キーランに問われて、アルティナはゆっくりと首を振った。


「ええ……決めました」


 アルティナは顔を合わせるなり、キーランに向かって宣言する。


「わたしは――わたしたちは――」


 アルティナは最後まで言葉を続けることはできなかった。


「アルティナ様っ!」


 ミラールが警告の声を上げて、アルティナの前に立ちはだかった。アルティナはミラールの肩越しに見る。

 そこには、音もなく戦の支度を完全に終えた軍隊が並んでいる。その中央にいたのは、黄金色に輝く鎧を身につけたライオールだった。
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