銀棺の一角獣
 キーランを好ましく思う気持ちがないと言えば嘘になるけれど、それは愛とか恋とか――そんな言葉で表される感情ではないのもまた事実だった。


「……そろそろ寝た方がよさそうだね。お休み」


 キーランはルドヴィクがたいた火をくるりと回って、向こう側に行った。毛布を頭からかぶって横になる。

 これから数時間、仮眠をとってからルドヴィクと交代するはずだ。

 二人ともアルティナには見張りをさせようとしないから、彼女だけは明日の朝まで目を覚ますことなく眠ることができる。


「……人間たちの関係は複雑だな」


 馬たちとは気が合わないらしく、アルティナの側に丸くなったティレルはあくびをかみ殺している。


「……わたしがいけないの。義務を果たさなければいけないのに――」


 ティレルに身を寄せていると暖かい。
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