銀棺の一角獣
「まかせろ。アルティナに何かあったら、俺も困るんだ――命がけで守るさ」


 ティレルは尾をゆったりと振った。

 そこへ慌てた様子で、もう一頭の馬がかけつけてくる。


「アルティナ様、わたしもお連れください」

「……ルドヴィク……」

「女王陛下をお一人で行かせるわけにはいきません。ティレル殿を信じていないというわけではないのです」

「我々もお供させてください」


 ルドヴィクの後からやってきたのは、ディレイニー王国から戻ってきた騎士たちだった。深手を負って療養中のヴァルガスをのぞき、ミラール、マドレル、セサルの三人がそれぞれに馬を連れている。


「……でも」


 一人の方がいいのではないかと、アルティナは思った。これ以上、彼らに負担をかけるわけにはいかない。


「アルティナ」


 困ってしまったアルティナに、下からティレルが声をかける。
< 154 / 381 >

この作品をシェア

pagetop